4:断裂の形式 完全および不全の2つの断裂形式がある。完全断裂は肩関節腔と肩峰下滑液包が交通するものである。不全断裂(部分断裂)は両腔が交通しないものであって滑液包断裂、腱内断裂および関節包側断裂の3つに分けられる。 5:症状 a) 新鮮損傷 受傷時に突然肩の挙上が不能となり、同時に肩関節痛を感じる。断裂が小さいと挙上は徐々に可能となる症例もある。疼痛は安静時痛および運動痛があり、初期には夜間痛がある。不完全断裂でも夜間痛がある。 肩の疼痛、特に運動時痛を訴える。広範囲断裂では布団の上げ下ろしや洗濯物を干すなどの挙上障害や食事中肩を外転してご飯茶碗をもてない事などもある。 6診断 a)理学所見 )筋萎縮 棘下筋の萎縮は断裂後2〜3週すると起こってくる。僧帽筋の下にある棘上筋の萎縮を認める症例もある。陳旧例では萎縮は顕著になる。三角筋の筋緊張は温存される。
最も断裂を起こしやすい棘上筋腱の断裂部に一致した大結節の内側に圧痛を認める。
三角筋を弛緩させると断裂した棘上筋腱の陥凹を触知できる症例もある。
外転60〜120°にて疼痛を生じ、120°以上になると疼痛が軽減する。(arc of pain)外転60〜120°にて軋轢音を触知する事もある。 外転や外旋筋力の低下を認める。完全断裂の典型例では自動挙上は出来ないが、他動的挙上は可能である。 他動的に上肢を90°外転位にし、その肢位を患者自身に保持させようと検者が手を離すと患者はそれを保持できない。90°の位置でようやく保持できても検査者が少し患者の手に対して重力方向へ力を加えると保持できずに上肢は下垂してしまう。(one finger resistance test) 患者を坐位とし、検者が患者の後方にたって一側の手で上から検査する側の肩甲骨を押さえ、次に検者の他方の手で上腕骨頭を肩峰に衝突させるように患肢を屈曲させると疼痛が誘発される。 |