手術 膝の展開と術創
手術は、部位を展開するために組織を傷つける。方法によって侵襲される筋や靭帯は異なる。それは後療法にも違いが出てくということです。
今回は一見同じような膝の手術でも、皮切する部位によって組織に与える影響が違うということを見ていきたいと思います。
【荷重と負担】
膝は、同じ荷重関節である股関節と比べて骨・軟骨の形状適合が低く、筋組織が少ない代わりに靭帯や半月などの軟部組織が多くの支持機構を担っている。特に、関節液、軟骨下の海綿骨、半月でのエネルギー吸収率が高い。
半月は軟骨に比べて圧縮に対する弾性係数は軟骨の半分程度であるが、組織液の浸透性が1/10~1/6と極めて小さいため、荷重変動下における組織液の流動抵抗が高い。そのためにエネルギー吸収率が高くなっていると考えられる。
大腿骨と脛骨のなす角を大腿脛骨角(FTA)と呼び正常膝関節では175〜178°といわれている。一方、股関節と足関節で加重が伝達される方向を示す軸を機能軸と呼ぶ。
機能軸は、正常では大腿骨軸に対し約5~6°、脛骨軸に対し約1~2°、鉛直方向に対し3~5°傾いており、膝関節中心から約10%内側の位置を通過する。
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