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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

内反捻挫・治療           
 

2.治療

 治療は保存的治療(手術しない方法)が原則である。

・受傷直後:RICEの処置

RICEの処置は外傷(打撲や捻挫、骨折など)の直後に行われる重要な治療法である。RICEの処置はRest(安静)・Ice(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)4つで構成されている。このうち、冷却はスポーツ後のクーリングダウンとして大切な処置のひとつである。

Rest(安静)

 痛みや腫れを軽減させる目的で行われる。三角巾や包帯などで患部を安静にさせる。骨折や靱帯損傷がある場合はギプス固定を行う。

 

Ice(冷却)

 局所を冷却することにより、組織の血管は縮小し腫れや炎症反応が抑制される。また、冷却により痛みを認知する神経線維の伝導速度が遅延し、筋肉の異常な緊張や発痛物質の発生が抑制される。

Compression(圧迫)

 内出血や腫脹を抑える目的で行われ、処置としては弾力包帯などで圧迫する。

Elevation(挙上)

 腫脹を抑える目的で行われ、処置としては患部を心臓より高く挙上し、静脈還流を促す。

「単なる捻挫」では安静を指示し、短時間の非ステロイド系抗炎症剤や外用剤を処方し、サポート固定で経過観察する。靱帯損傷を認める症例ではギプス固定を行う(最近では歩行やランニングが行いやすいソフトギプスを使用する。足首の固定は軽度背屈とする)。なお、骨や筋肉の萎縮を防ぐためにギプス固定のまま歩行や走行、スポーツ活動を許可する。固定期間は損傷の程度に応じて3~5週間程度とする。ギプス除去後は足首のストレッチング、筋力強化訓練を行わせ、再発防止に努める。


経時的リハビリテーションプログラム

検査項目

Anterior drawer sign, 前方引き出し徴候:前距腓靱帯損傷

Posterior drawer sign, 後方引き出し徴候:後距腓靱帯損傷

検査法→患者を仰臥位にし、片方の手で足関節を固定する。反対の手で脛骨を握り、押し下げる。次いで、前足部を握り、反対側の手で脛骨の後方を持って引き上げる。

外傷後、脛骨を押し下げたときにゆるみがあれば前距腓靱帯の断裂が、脛骨を引き上げたときにゆるみがあれば後距腓靱帯の損傷を示している。