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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

足関節の靭帯損傷について           
 

足関節靭帯損傷

@    病態
足関節の靭帯損傷は、日常遭遇する外傷のうち最も頻度が高く治療の機会も多い。損傷の程度は放置しても差し支えないものから手術の必要なものまで多様であるが、一般的には足部に比べて足関節の靭帯損傷の方が重篤であり、損傷の部位と程度を的確に診断しなければならない。

A    床状と診断
強制を受けた肢位が内がえしか外がえしか、あるいは底屈か背屈かによって、損傷部位をある程度は知ることができる。したがって受傷機転を十分に聞きだすことは、診断を進めるうえで重要である。靭帯損傷が新鮮例か陳旧例かによって治療方針が異なるため、足部捻挫の既往歴についても詳しく聞いておく。陳旧例の再捻挫を新鮮例と見誤ることは案外多い。

患肢で荷重しても骨折の場合ほど著しい疼痛を訴えることは少ない。受傷直後は腫張・疼痛の部位が限局していることが多く、診断は比較的容易であるが、2日目以後になると浮腫が周辺に及ぶため、損傷部位はやや不明瞭となる。しかし、損傷部位に最強の圧痛点がみられることに変わりはない。外果の前上方であれば遠位脛腓靭帯、前方であれば前距腓靭帯、下端であれば踵腓靭帯、踵骨前方突起の後上包であれば距骨頚靭帯もしくは骨間距踵靭帯、前上方であれば二分靭帯、下方であれば踵立方靭帯の損傷が疑われる。

内側の靭帯損傷は三角靭帯以外に問題となるものは少ない。足背部の圧痛がみられる場合は、その部位により距踵靭帯、楔舟靭帯、楔間靭帯などが診断可能である。

B    鑑別診断
外果剥離骨折、踵骨前方突起骨折、第5中足基部骨折などは単純X線検査では見逃すことがあるので注意を要する。また、足部の捻挫を契機として外脛骨や三角骨などの過剰骨障害、足根骨癒合症などの症状が誘発される。

足関節の靭帯解剖

圧痛点と損傷部位

新鮮外側靭帯損傷の診断と治療方針

靭帯の損傷部位(120例中前距腓靭帯は全例に損傷をみとめた。踵腓靭帯は約50%に損傷を認めた。)