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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

アキレス腱断裂について           
 

アキレス腱断裂は発生頻度の高いスポーツ外傷! 

ジャンプの着地や後方へのステップなど、アキレス腱部に急激な伸張と下腿三頭筋の収縮による張力が同時に加わった受傷機転が多く見られる。断裂の瞬間は、何かで殴打されたような衝撃をおぼえ、断裂音を聞くことが多い。

・断裂部位はアキレス腱狭小部が90%以上を占めているが、その理由として、アキレス腱への血液供給は腱間膜を通って行われ、踵骨の上2~6pの部分は最も血液の供給量が少ないためと考えられている。


アキレス腱断裂の治癒過程

受傷直後は、アキレス腱部の腫脹、圧痛、陥凹、他動的な背屈の増大が認められる。受傷後2,3日後では踵骨部に内出血が認められる。

アキレス腱も皮膚などの結合組織と同様に、損傷後2〜3日程度の急性炎症期を経て、13週間の間に線維芽細胞(腱芽細胞)の浸潤ならびに血管新生が認められるようになり、損傷部位に膠原線維が満たされていく。3〜4週後には線維芽細胞は減少し始め、膠原線維が長軸方向に沿って安定・成熟し、6週間でおおむね修復される。その後数ヶ月かけて膠原線維の密度や配列など再構築がされていく。

アキレス腱の構造とその周囲筋

アキレス腱(踵骨腱)

 人体中で最も厚く、最も強靭な腱である。腱の下端部は踵骨隆起の後面中央に付着している。この腱と踵骨との間には踵骨滑液包が存在する。

 




       腱と腱鞘の間に存在する脂肪を多く含んだ疎性結合組織。腱に対して血行(栄養)を与える役割。

 

Thompson test  
 患者をベッドに腹臥位または膝立ち位にし、足をベッドの端から出す。検査は患者の下腿三頭筋の筋腹をつかみ、足関節の底屈状態を健側と比較する。回復過程でも経時的に比較していく。

・アキレス腱部の触診
 断裂部で陥凹の触知が可能な場合があり、同部の圧痛を伴うこともある。また、縫合術後ではアキレス腱部の肥厚を認めることが多い。