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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

腰痛症の原因@           
 

なぜ腰痛症になるのか?

私達人類は立って歩いたり、働いたりすることの出来る唯一の動物です。そのため腰には他に類をみないほど大きな負担がかかります。その負担に耐えて体を支える主役は脊柱であり、とくに腰の骨には体重の2倍から3倍、時には4〜5倍にもおよぶ力が加わります。

 これだけ大きな力に一生耐え続けるためには腰のまわりの筋肉の量と力を保ち続けることが必要なのです。筋肉の鍛錬は腰痛を予防し、悪くしないことにつながる大切なことなのです。

また、寝方や座り方、物の持ち上げ方など長い間の誤った生活様式や作業姿勢により痛みが出ることも多くあります。ですから、腰への負担を軽くして動くコツを知ることも大切なのです。

腰の仕組みについて

多くの腰痛の原因はほとんど腰椎にあります。
 腰椎には5つの椎骨、その間に5個のクッション作用をつかさどる椎間板があり、背中寄りには左右一対ずつ合計10個の小さな関節があります。そしてそれぞれの椎骨は靭帯で補強されています。大切なことは、この腰椎の柱の中に、下肢の感覚や運動をつかさどる大切な神経が通っているばかりでなく、背骨のまわりにも痛みなどを感じとる細かい神経がまとわりついているのです。

 












腰痛の多くの原因は、椎間板や関節あるいは骨が老化してしまうために、そこにある神経を刺激してしまうことにあります。


次に腰を構成している組織についてもう少し詳しく説明していきましょう。腰を構成している組織には@   骨 A靭帯 B椎間板 C筋肉 D神経 E血管があります。

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背骨は約33個の椎骨(頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨5個、尾骨3〜5個)からできており、脊柱を形作るとともに脊髄や神経を保護しています。

 脊柱は横から見るとS字状のカーブを描いており、直立二足歩行に適応して現れ、衝撃を緩衝するような作用をもっています。

腰部は前方に彎曲しており、この彎曲が過度になると腰痛の原因になります。

A   靭帯

靭帯は数十個の椎骨をつなぐ「ガムテープ」のような強靭な構造で、背骨を一定の姿勢に保ち、過度の動きを制限する役割をしています。突発的な激しい力をうけると損傷を起こすことがあります。

 

 

B   椎間板
各椎骨間には椎間板があります。椎間板は各椎体間にクッションのように存在している弾性に富む繊維性軟骨です。繊維輪と髄核からなり、いわゆる椎間板ヘルニアとは、繊維輪が傷ついて弱くなり髄核が飛び出して神経を圧迫する状態をいいます。

C   筋肉
筋肉は収縮して関節を動かす役割をしていますが、脊柱の場合は動かすだけでなく姿勢を保持し腰の損傷を防ぐためにも働いています。
 お腹側には、腹直筋や腹斜筋、腹横筋、背中側には脊柱起立筋、多裂筋、腰方形筋などがあります。

 

D   神経
 神経は痛みや温度など、さまざまな情報を身体の各部位から脳に伝達したり、筋肉を動かすための指令を送る役割をしています。背骨には脊髄という大事な神経が通っているため、脊椎に変形が起こるとこれらの機能に支障を生じたり、痛みが発生することになります。


E   血管
傷めつけられた組織が修復されるためには、血液供給が必要です。鍛錬された筋肉は毛細血管に富み、損傷しても修復しやすい一方、椎間板は血行の乏しい組織であるため一旦傷つけられると修復が難しいと言われています。