手の機能上の特徴 ・自由度が大きく、完全な随意運動。 ・左右の上肢長の差が軽度であればADLにまったく支障をきたさない。 ・左右の優劣差が大きい。 ・知覚が他の部位に比べて鋭敏 ・白筋の要素が大きい。 ・腱の滑走距離が長い。 橈骨手根関節:橈骨と舟状骨、月状骨、三角骨で構成される楕円関節である。 尺骨と手根骨の間にはTFCCがあり、直接の関節を作らない。 手根中央関節: 手根骨近位と手根骨遠位の間の関節である。比較的可動性が大きい関節であるが、狭義には手根骨同士の可動域の小さい関節もある。 手根中央関節はS字状の形を持つ複合楕円関節である。手関節の全ての運動に関与し、運動の約半分はこの関節で起こる。 TFCCとは:TFCCは、三角線維軟骨複合体と言い、三角線維軟骨(TFC)、関節円板、掌背側橈尺靭帯、尺側側副靭帯、尺側手根靭帯腱鞘を含めたものである。 TFCCは、尺骨と手根骨の緩衝作用として働いている。 手関節周囲の靭帯構造: 手関節は手根骨(特に月状骨)の背屈の動きを防止するために背側に比べて掌側のほうが強靭である。 手関節運動に関しては、撓側および尺側の側副靭帯、有頭骨と月状骨を頂点として橈尺骨へ延びる遠位手根列と近位手根列の二重のV靭帯 (あるいは三角靭帯)が重要である。 この遠位手根列と近位手根列の間の部分は靭帯の脆弱部位とされており、手根骨脱臼の好発部位である。 私の考え・・・ 整形外科ではコーレス骨折などの転倒による骨折をよく見かける。ほとんどの場合が、高齢者で骨密度が低下している患者である。 そのため骨が潰れていることも多く、リハビリで筋や靭帯の動きを良くしても、骨の形態によって可動域が制限されてしまう。 手関節は腱の滑走距離が長いため、それに伴う炎症も起き易い。腱鞘炎や骨折後のリハビリも腱の動きの改善には時間を要する。支帯の柔軟性や筋膜の癒着、末梢神経の滑走性など考えるべきことも多い。特に、手掌腱膜や伸筋支帯は強靭なため一度拘縮してしまうと難治する。 |