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手の関節運動 伸展・屈曲・撓骨・尺骨



 


『伸展運動』
 橈骨上で月状骨の凸面が背側に転がり、掌側に滑ると伸展を生じる。回転した月状骨の遠位面は背側を向く。同様に、有頭骨も背側に転がり、掌側に滑る。
 このようにひとつの運動に二つの関節が関与する利点は、各関節の中等度の回転のみで大きな可動範囲の運動が生じることである。中等度の動きに制限されることによって、安定した円弧の動きが可能になる。
 伸展が完全に行われることによって掌側撓側手根靭帯、掌側関節包、手根および指の屈筋は伸張される。こうした構造体で緊張が生じると伸展の不動位で手根が安定する。
 

『屈曲運動』
 伸展の逆パターンで生じる。
 背側の組織はそこまで強靭ではなく、手根も安定しない。上肢を介して体重を支えるには適していない。

 この伸展・屈曲運動を、先ほどの月状骨・有頭骨モデルで考えると簡略化して考えることができる。しかしこの考えでは舟状骨の動きを説明していないため、これから述べることにします。


『舟状骨』
 動きとしては、月状骨と類似している。しかし、彎曲の程度が異なるため違う速度で転がることになる。こうした差異により、運動の終末までに舟状骨−月状骨間でわずかなズレが生じるが、このズレは舟状月状靭帯によって最小限となる。


『尺側運動』
 橈骨手根関節および中央手根関節はほぼ均等に手根全体の動きに参加する。
 橈骨手根関節の舟状・月状・三角骨は尺側方向へ転がり、橈側方向へかなりの距離を滑る。
 中央手根関節では有頭骨が尺側に転がり、橈側にわずかに滑る。尺側偏移が完全に生ずると、三角骨は関節円板と接触する。有鈎骨が三角骨に対して押し付けられると橈骨茎状突起に対して手根近位列を押し付ける。こうした圧迫は、大きな握力が必要な活動に対して手根を安定化させるうえで役に立つ。


『撓側運動』
 尺側運動の逆パターンで生じる。
 

 運動中、手根骨の近位列はわずかながら屈曲・伸展で揺れや捻れの動きも生じる。揺れる動きは舟状骨で顕著に認められ、月状骨でもわずかであるが認められる。
 橈骨偏位中、近位列はわずかに屈曲し、尺側偏位中はわずかに伸展する。この動きは舟状骨結節によって知ることが出来る。完全橈屈位と完全尺屈位では20°の伸展屈曲運動が見られる。尺屈位では、伸展方向に動くと舟状骨は起き上がるので、結節は遠位に突き出る。


私の考え・・・
 X線により外側コンパートメントは内側に比べかなり動きが少ないことが示唆されている。そのため、手根中央関節の動きを考える場合内側コンパートメントに焦点があてられる。
 手関節のリハビリでは、手根骨を1つずつ触診できなければ話にならず、治療成績も思わしくない。舟状骨が動きの中心となることが多いが、モビライゼーションなどを行う際に骨の形態や関節面の成し方を理解しなければならない。
 滑りや転がる方向だけでも理解をしておくといいと思います。
 細かい動きが多い手根骨ですが、触診だけならそこまで難しくはないのでチャレンジしていきましょう。