肩関節の構造 胸鎖関節とは 胸鎖関節は鎖骨の内側端、胸骨の鎖骨内側面、第一肋骨軟骨上端が関係する複雑な関節である。 胸鎖関節は、前・後の胸鎖靱帯によって強化される関節包に包み込まれている。 胸鎖関節を安定させている組織は前・後胸鎖靱帯、鎖骨間靱帯、肋鎖靱帯、関節円板、胸鎖乳突筋、胸骨甲状筋、胸骨舌骨筋である。 関節円板は接触する表面積を増やすことでショックアブソーバーの役割を果たしている。この関節は変性関節炎変化が起こりにくいことから関節円板機能は長く保たれる。 胸鎖関節における骨運動は、挙上と下制、前方牽引と後退、鎖骨の軸運動がある。 挙上は約45°、下制は約10°の運動が報告されている。挙上では肋鎖靱帯が安定に働き、下制では鎖骨間靱帯と関節包靱帯の上部線維が伸張することによって安定している。 前方牽引と後退は15~30°の運動が報告されている。前方牽引も後退も肋鎖靱帯と関節包靱帯によって安定している。また、肩甲骨の可動性が悪いと鎖骨の前方牽引は制限されることがある。 鎖骨の長軸回転は肩の外転や屈曲する際、40~50°後方へ回旋する。 肩鎖関節 肩鎖関節は鎖骨の外側端と肩甲骨の肩峰との関節である。 肩峰上の鎖骨関節面は内側かつやや上を向き、鎖骨上の対応する肩峰関節面と適合している。さまざまな形の関節円板が多くの肩鎖関節には存在する。 肩鎖関節は上・下の靱帯によって補強される関節包によって取り囲まれている。 上関節包靱帯は三角筋と僧帽筋からの付着線維を介して強化されている。 肩鎖関節を安定させる組織は、上・下肩鎖関節包靱帯、三角筋・僧帽筋、烏口鎖骨靱帯、関節円板である。 烏口鎖骨靱帯は二つの靱帯からなる広い靱帯で肩鎖関節に付加的安定性を与えている。 肩鎖関節の関節面は線維軟骨層で覆われ、関節腔は関節円板によって仕切られている。 私の考え・・・ 肩関節の靱帯は強力なものが多く肩関節の可動域に影響が出やすい。さらに周囲の筋も強力で太いため、靱帯を触知しにくい。 靱帯の拘縮を見るには、筋を緩ませた状態で骨の動きを見ると良い。左右差を見て動きにくい方向があれば靱帯の拘縮の可能性が高い。 しかし、靱帯の可動域制限はただストレッチをかけるだけでは改善しない。 軽い力で自動運動を反復して行い、靱帯に熱を持たせて粘性を上げると可動域が広がりやすいため、無茶なストレッチは禁物である。 |