筋膜リリースとは 正常な健康状態では筋膜はリラックスしており、柔軟に伸縮し動くことができる。 外傷、手術、不良姿勢などは、その影響が蓄積されていき筋膜に硬縮を生み出し、過剰な圧力を加えることになる。 その結果、神経、筋肉、血管、骨格構造、そして内臓組織を圧迫し、身体の痛みや頭痛、運動の制限などをもたらす結果となる。 筋膜は、コラーゲン繊維と弾性繊維が合わさって、ひとつのユニットとして働く。コラーゲン繊維は、柔軟で丈夫であるがほとんど伸びない。弾性繊維は、均一なタンパク質からなっているため、収縮性があり引き伸ばせる。 筋膜の短縮は収縮力のないコラーゲン繊維の癒着によって起こる。体の歪みによって起こるコラーゲン繊維の癒着は筋膜の短縮となり、筋膜の可動性を低下させ、関節可動域制限も起こす。そのため、筋膜リリースは筋膜が短縮して可動制限が起きている部位に対して行われている。 筋膜の短縮は、隣り合うコラーゲン繊維の癒着によって起こる。この癒着のことを交差結合と呼ぶ。短縮した筋膜を伸張して制限をリリースするには、90秒以上の時間を必要とする。効果を出すには、2〜5分間持続して伸張する場合もある。 このように時間がかかるわけは、2つの繊維のうち弾性繊維は伸縮性がありすぐに伸びてくるが、コラーゲン繊維が伸びるのに少し時間がかかる。すぐに手を放してしまうとコラーゲン繊維が伸びる前に、弾性繊維がゴムのように元の長さに戻ってしまうのである。 時間をかけた伸張により、交差結合が発生したコラーゲン繊維周辺の体液循環が促進され、繊維の密度が変わり短縮した繊維の損傷が改善される。 私の思い・・・ 実際の理学療法場面では2〜5分もリリースに時間を費やすことが出来ないのが現実です。 そのため、ROMと同時進行でリリースを行うのが常です。 リリースのみでは患者さん自身が効果を感じにくいので他の手技も行いましょう。 術後はリリースが必須で膝や肘のみならず頸部にも効果を発揮します。行う力加減が難しいリリースですが、確実にリリースして正常な可動域改善を得られればと思います |