〔肩甲胸郭関節〕 肩甲胸郭関節は厳密には真の関節ではなく、肩甲骨と胸郭の接触面である。 肩甲骨は通常、第二肋骨~第七肋骨の間に位置する。 肩甲骨の挙上運動は、胸鎖関節で鎖骨の挙上運動により肩甲骨が上方回旋する運動と、肩鎖関節で肩甲骨が下方回旋する運動が合わさる運動である。 これにより、肩甲骨は垂直位を保ったまま上方に動くことができる。 下制運動はその逆である。 肩甲骨の前方牽引運動は、胸鎖関節では胸骨が軸となり水平面で鎖骨が回旋運動する事により、肩甲骨‐鎖骨全体が前方に動く。 肩鎖関節では鎖骨が軸となり肩甲骨内側が外に開く運動が起きる。 この二つの運動により胸郭に沿いながら動けるため、リーチ動作を行うことが出来る。 私の考え・・・ 前方牽引運動は胸鎖関節と肩鎖関節の合算で生じるため、どちらかの関節に障害がおきてもリーチ動作の動きは確保されやすい。これは同じような動きをする複合関節運動は代償して働きやすいからである。 しかし、肩甲骨挙上運動のように、上方回旋と下方回旋の動きを打ち消しあう複合運動は、どちらかの関節が障害されると代償を行えず運動が制限されることがある。 肩のように多くの関節による複合運動では、別の関節により代償できる運動と、変移してしまう運動があることを視野に入れなければならない。 |