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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

 腰椎椎間板ヘルニア 病態とリハビリ@
 

【腰椎椎間板ヘルニア】

【病態】

 腰椎椎間板ヘルニアとは、脱出した椎間板組織が神経根を圧迫して腰・下肢痛を起こす病態である。好発年齢は203040歳代が最も多く、次いで105060歳代の活動性の高い男性に多い。好発高位は、L4/5椎間板、次いでL5/S1L3/4の順に高く、1椎下の椎間孔より出ていく神経に障害を与えることが多い。

 

頻度は低いが2椎間以上に発生し複数のヘルニアが同時に症状を起こす多発性ヘルニア、線維輪後縁の正中部から突出する正中ヘルニア、ヘルニアが脊柱管外の椎間孔内や椎間孔外に存在する外側型ヘルニアなどもある。

 

症例の多くは、反復性の腰痛があったところに、急性発作として激しい腰痛と下肢痛が生じる。下肢痛は咳やくしゃみで増悪する(デジェリーヌ徴候)。また、慢性期の患者は痛みが放散性の下肢痛というより、同一姿勢の保持(座位、立位、あるいは屈曲位の保持)での腰殿部、下肢の重苦しい痛みという傾向がある。

 

 腰椎椎間板ヘルニアには椎間板突出と椎間板ヘルニアの2つの基本的な型がある。前者は、@線維輪の連続性が残っている突出、A線維輪の連続性は断たれているが、後縦靭帯下にある靭帯下(線維輪下)脱出。後者は、@靭帯をも剪破した経靭帯性脱出、A髄核腔との連続性がなくなっている遊離ヘルニアである。

椎間板ヘルニアは一般に髄核が後方へ突出するように脱出する。これは、線維輪が前方に比べ、後方がより薄いためである。

 

腰椎の屈曲により椎間板内圧は著明に上昇する。これにより、後方線維輪の接線ストレスが増加し、髄核は後方へ移動する。このため、後方線維輪に損傷があれば椎間板ヘルニアを発生する可能性は高くなる。

  

  

 椎間板ヘルニアのタイプ

     

 諸動作における椎間板内圧の変化

 

       

 椎骨の連結

 

     

立位での腰椎の可動に伴う髄核の動き

【禁忌

 <急性期>  腰椎に負担のかかること全て(とにかく安静)
 <慢性期>  ひねり動作や負荷のかかる姿勢・動作
 <体操療法> 疼痛の増悪や疼痛の中心化がみられず、下肢末梢にまで伸びる症例では禁忌である。すなわち、禁忌となる症例は椎間孔内・外の外側ヘルニア、外側陥凹への脱出ヘルニアが該当する。