『接地期』 ①<踵接地での足関節> 踵接地で下腿は前方へ加速し踵部には床からの摩擦によって後方剪断力を生む。 これら2つのトルクは足関節を底屈方向への回転力を生み、前脛骨筋は足部を背屈へ働かせこの回転力に抵抗して、スムーズな前足部への接地が可能になる。 ②<前足部の外側から内側への荷重> 前脛骨筋は主として足関節底屈の減速として作用するが、横足根関節(MT関節)縦軸で回外させる作用がある。そのため前足部に最初に接地するのは外側であり、さらに荷重がかかると床反力が前足部を回内させるために内側に荷重されてくる。 ③<ST関節回内と下腿内旋> 接地期では骨盤・大腿・下腿ともに内旋方向へ働き、ST関節も回内する。接地期における足部の筋機能はST関節回内を徐々に減速することであり、接地期最後で停止する。 最初に後脛骨筋が働き、次いで前足部接地とともにヒラメ筋そして長趾屈筋腓腹筋が働き、最後に長母趾屈筋が働く。腓腹筋は二関節筋で大腿骨内旋を減速し、他のカーフ筋は脛骨内旋の減速をする。 接地期最後の下腿内旋とST関節回内の停止は、立脚中期が始まることでこれらの筋群の活動持続で下腿外旋とST関節回外が始まる。 ④<下腿の前方モーメントの減速> 接地期初期に前足部が接地するにしたがって、脛骨は足部の上で前方へ移動する。前のステップでの体幹前方移動による力学的エネルギーは推進力にプラスされ、体幹の前方加速と下肢の荷重負荷を複合化したものである。 下腿は荷重負荷された足部のうえで前方に推進され、筋はこれを減速し前方の倒れこみを防ぐ必要がある。後脛骨筋は脛骨の前方モーメントを減速する主要な筋であり、最初ヒラメ筋と長趾屈筋に補助され、さいごに長母趾屈筋に補助される。同時に腓腹筋は膝に屈曲張力を維持して脛骨を減速するとともに膝の過伸展を防いでいる。 私の考え・・・ 歩行分析をするためには、元々の予備知識がないと不可能である。動作そのものは一瞬で終わってしまうため、予想をつけながら行わないと見逃してしまう。 求心性運動は、同時に遠心性運動も働いていることを認知しなければならない。底屈筋がうまく働くためには背屈筋の遠心性が上手に働かなければぎこちないものになってしまう。 例えば、荷重が内側ばかりにかかってしまう場合は、足関節そのものに異常があるのか、動作の前段階で異常があるのかを評価する必要がある。舟状骨は定位置にあるのか、内側アーチは十分か、背屈ROMは良好か、接地時に下腿の内旋動作はあるのか等、異常に対して結果を予測できれば歩行分析も向上すると思われる。 |