脊椎圧迫骨折
<病態>
高齢者の骨折では、発生頻度は最も高い。骨粗鬆症を最も反映し、骨密度の減少に比例して発生頻度が増加する。転倒して尻もちをついて起こすことが多いが、骨粗鬆症が高度になれば体をひねったり、くしゃみをしたりしても骨折するようになる。胸腰椎移行部に多い。
<原因>
圧迫骨折は骨粗鬆症がある場合に起こりやすく、つまずき、軽微な外傷あるいは転倒、尻もちなどにより生じる。好発部位は胸腰椎移行部であり、T11、T12、L1である。
<症状>
臨床所見として胸背部痛、腰痛、骨折部の叩打痛がある。関連痛として下肢の痛みやしびれなどがある。
圧迫骨折による脊髄麻痺は少ないが、遅発性に麻痺が生じることがある。これは椎体の圧潰が進行してくるからである。粉砕骨折(burst fracture)により椎体後壁が脊柱管内に入り込む場合と圧迫骨折が楔状となり、後弯変形が著名となる場合がある。
<検査項目>
新鮮な椎体骨折の初期のX線像では、椎体前壁・後壁の断裂、椎体縦骨梁の非連続性、椎体隣接上下椎体と比較して部分的高さの低下に着目する。また、MRIやCTは鑑別診断にも有効である。
(鑑別診断)
化膿性脊椎炎、結核性脊椎炎、悪性腫瘍の脊椎転移を念頭に置いて鑑別診断を進めなければならない。悪性腫瘍に関する既往歴がないか、発熱等の全身状態、血液検査など必要である。
<治療方法>
骨折当初はベッド上安静とする。疼痛が軽減したら軟性コルセットをつけて座位、車椅子移動と進める。疼痛に対しては抗炎症鎮痛薬、カルシトニンを使用する。
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